ぬかるみがち

見聞私感

松本隆 藤舎貴生 静

京都夜桜生中継2019の「静」

 

記憶では楽曲お披露目は尾上紫さんのリサイタルだったはず。わたしは初見。歌詞世界が左へスクロール展開、絵巻物は左へすすむ。その構成に唸る。炎・心情の炎・いのちの炎、中継ではそこにない舞姿が邦楽楽器のうねりで幻影浮かび。桜の花を雪に錯覚させる音楽の魔。贅沢な背景での生。笛の音は気配を積み、ギアをキリっといれる。

生でいつか聞きたい。「静」。

いつも藤舎さんの笛をきくと、笛は多種類の筆なのね、と思う。水を含んだ平筆でふわふわと漂いながら、時に細筆、時に尖った彫刻刀の如く「斬り込む」その瞬間もたまらない。過去「幸魂奇魂」のときかな、横笛の早持ち替えもみた。なかなかのスリル。またいつか再演を。